金融市場における取引分析の種類

金融市場での取引は、多額の元手がなくても利益を生み出すことができるダイナミックで効果的な方法の一つであることがよく知られています。だからこそ、世界中でたいへん人気があります。しかし、大きなリスクが伴い、すべての資金を失うかもしれないこともよく知られています。取引を成功させるには、市場のしくみ、現在の市場の状況、将来的にどのようなことが起こり得るかを十分に理解しなければなりません。そのため、従来から二つの分析方法:テクニカルとファンダメンタルが使われています。

テクニカル分析

テクニカル分析には、グラフとコンピュータ(または、インジケータ)があります。前者は、レベル、周波、トレンド、パターンの種類があります。後者は、インジケーターで、通常、コンピューターで計算されたものです。近年、多くのグラフツールで膨大な数のインジケーターがつくられているため、多くの場合、交差しています。また、テクニカル分析には、エリオット波動や日本のローソク足などがありますが、交差していることが多くあります。

グラフ分析. この方法は、名前通り相場チャートを基にしています。グラフ分析には、価格水準やトレンドの研究、チャート上の様々なパターンやフォーム、そのほかの視覚的分析ツールがあります。また、グラフ分析には、トレーダーが将来の価格の方向性を判断するのに役立つ移動平均線(MA)などの様々な指標が含まれていることもあります。

グラフ分析の主なメリットの一つは、視覚ということです。ほかの分析方法ではわからない市場のさまざまな傾向を把握することができます。 パソコンやスマートフォンの画面に表示されるチャートは、初心者のトレーダーでも簡単に理解できるように思われます。しかし、それほど簡単でもありません。このタイプの分析方法では、トレーダーはチャートを正しく解釈して判断するための知識や経験が必要になります。なお、そのためには、知識と実践のために時間と労力が必要かもしれません。

コンピュータ(またはインジケータ)分析は、価格チャートだけでなく、取引量も基本となります。移動平均線(MA)、MACD、RSI、ストキャスティクス・オシレーター、ボリンジャーバンドなどのさまざまな指標は、トレーダーがポジションのエントリーや決済時の判断時に役立ちます。

テクニカル分析のメリットの一つは、MetaTrader 4(MT4)取引ターミナルなど簡単に入手できるデータを使用して、非常に迅速に処理できることです。このターミナルには、とても人気のある数十種類のインジケーターがすでに組み込まれています。また、何千種類ものインジケーターがMT4向けに開発されています。購入するものや無料でダウンロードできるものがあります。

このようなインジケーターは、戦略を立てる時に、エキスパートアドバイザーでの手動取引と自動取引の両方で使われます。長期や中期的取引だけでなく、例えば、ピップシングやスキャルピング にも便利です。しかし、実際の取引をする前に、MT4ターミナルにあるストラテジーテスターを試してみるのと同様に、NordFXのお客様向けのデモ口座でその結果を評価してみることを強くお勧めします。

これらのメリットにかかわらず、テクニカル分析(グラフとインジケーター) は、大きな欠点を避けることができません。一つは、特に不安定な市場の場合、誤ったシグナルに反応します。また、インジケーターの値は過去の相場のみを基にしているので遅れています。これは、いわゆる先行指標のシグナルにも当てはまり、過去に似たような状況があった時にのみに今後の様子を予測できることになります。

もう一つの欠点は、インジケーターの読み取りが設定に大きく依存することです。同じ設定でも、取引銘柄や時間軸が異なると、動作のクォリティも大きく異なってきます。また、相場が変化した場合にも、インジケーターの動作に不具合が生じることがあります。

最後に、市場価格に予想外の影響を与えるかもしれないファンダメンタル要因を考慮できないということが、一番の大きな欠点だというのが私たちの意見です。そのため、トレーダーはファンダメンタル分析だけでなく、リスク管理、ポートフォリオの分散などのほかのアプローチと併用することで非常に大きな効果を発揮することができます。

What type of analysis to use when trading in financial markets_jp

ファンダメンタル分析

ファンダメンタルズ分析は、資産価格に影響を与える経済的、金融的、政治的、社会的要因に基づくものです。投資家が資産価値の判断、将来的な資産価値の動向と購入もしくは売却を判断するのに役に立ちます。

ファンダメンタル要因には、次のようなものがあります:

- 経済データ: GDP、インフレ率、失業率、生産高、貿易収支などの統計データ

- 中央銀行の金融政策と金利

- 政治情勢: 選挙、法制度、 法案

- 革命、内乱、戦争、テロなど

- 社会的動向: 人口推移の変化、技術革新、消費者需要の変化など

- 季節的要因や自然災害、天然資源の過不足

- さまざまなそのほかの要因: 市場動向、指標推移、企業ニュース、財務状況など

つまり、ファンダメンタル分析とテクニカル分析の違いは次のようになります。テクニカル分析は、チャートとテクニカル指標を基本として、過去の価格と出来高のデータを使って将来の相場の動きを予測するものです。ファンダメンタルズ分析では、より広い範囲のデータを使用します。過去や現在の資産価値に影響を与えた要因だけでなく、将来的に影響を及ぼす要因も基にしています。

ファンダメンタル分析のメリットの一つは、長期的なトレンドを予測して資産の基本的な価値を評価することができることです。しかし、これは、複雑で必要なデータを全て集めるには多く時間と労力が必要になります。また、投資家の心理的変化や想定外の政治要因などは短期的な市場にいつも考慮できるとは限りません。このことから、ファンダメンタル分析は長期投資、テクニカル分析は短期投資に使われています。

さまざまな種類の分析と統計モデルの併用

それぞれの分析にはメリットとデメリットがあり、最もふさわしい選択が各トレーダーのニーズ、戦略、リスクの許容範囲、目標によって異なることを理解しておくことが大切です。また、トレーダーは、異なる分析方法を併用することがよくあります。これは、リスクを軽減して取引成功の可能性を大きくすることが可能です。

また、大量のヒストリカルデータや回帰分析などの統計方法で数理モデルを使ったトレンドを掴むことや将来の価格予想と同様にポジションのエントリーや決済のベストなタイミングを決めることができます。このような統計モデルのメリットの一つは、大量のデータの処理能力と市場の隠れたトレンドとの依存関係を明らかにすることです。

しかし、このような統計モデルも、もちろん同じようにデメリットがあり、成功を保証するものではありません。まず、統計学、数学、コーディングの重要な知識が必要となります。次に、統計モデルは、特に、複雑で典型的ではない市場の状況では、エラーや不正確さが現れます。

有名人のトレード方法

伝説のトレーダーの伝記を調べていると、好みはありますが、それぞれ異なる分析方法を使っていることがわかります。

- ウォーレン・バフェット は、ファンダメンタル分析の支持者であることで知られています。バフェットは、企業の収益、配当、資産、負債などの財務実績の分析に基づいて投資判断をします。これにより、株式の長期的な価値とその上昇の可能性を判断しています。なお、バフェットは、自分が信じる企業に投資して長期間株式を保有することが重要だと考えています。

- ジョージ・ソロス は、テクニカル分析の支持者です。これは、市場のトレンドやパターンを判断するためにチャートを使い、さまざまなインジケーターの値に着目します。ソロスは、リスク評価や投資への信用度、リスクマネジメント戦略、つまり、資金管理が大切であると考えています。

- ピーター・リンチは、ファンダメンタル分析とテクニカル分析の併用アプローチのファンであることで知られています。リンチは、企業の財務諸表を調べて成長性を評価、価格チャートやそのほかの指標でポジションのエントリーや決済の判断をします。

-ジョン・ポールソンは、イベント分析が得意とされています。企業の発表、政治的変化、経済データなどのニュースやイベントを分析して、市場価格に及ぼす影響を判断します。ポールソンも自身の投資判断を高めるためにファンダメンタルとテクニカル分析を使っています。

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